裏八祐ブログ

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「親子の自立」ってそんなに必要かね?

親と子、それぞれの自立 - Chikirinの日記 

「還暦に赤いちゃんちゃんこ」は誰もが知ってる常識だと思ってましたが、最近はそうでもないんですかね。自分自身を思い返してみますと、祖母の還暦祝いを私ら孫を交えて催したから「還暦祝い」「赤いちゃんちゃんこ」というものを学習できたんだなと、あらためて思いました。「祝いごと」をちゃんと執り行うってとても大事なことなんですね。

私の母も、もう何年も前に還暦を迎えました。私は孝行息子(?)だから、母から催促されずともちゃんと還暦祝いをしましたよ。赤いちゃんちゃんこの代わりにラッフルズホテルにあるタイシルクのお店の「赤いブラウス」をプレゼントしました。車ほど高くはありませんが普通のブラウスの10倍以上は値が張るもので、この先20年、30年経っても褪せずに着られます。つまりは生涯「これは息子が還暦祝いにくれたものなの」と自慢できるものです。一生着れる「赤いちゃんちゃんこ」としてプレゼントしましたので、おれってやっぱ孝行息子じゃんって思います。ふふふ。

 

と、自慢話をしたいんじゃなくて、今日は「親子の自立」について、上記リンク先とはちょっと違う意見をもっているので、それを書き記したくなりました。というのも最近、「互いに自立しない(できない)親子」を肯定してもいいんじゃね?って思うようになったからです。

親離れ・子離れができることが望ましいと昔は当然のように思ってました。がしかし、村社会の歴史が長いこの日本では、親子は自立よりも、うまく相互依存しながら生きてきたのではないでしょうか。今でも「親を介護して看取る」ことが当然とされてますよね? これって当たり前のことのように思われますが、たぶんグローバルスタンダードではないですよ。たぶん。

 

私ら団塊ジュニア世代が老人となる何十年後かの未来ならば、子や孫に依存せずに「フロー型」の人生を生きるべきというは分かります。少子高齢化が進みますのでいやでもそうせざるを得ないでしょう。がしかし、今それを団塊以上の方に望むのは、どうなんでしょうねえ。また反対に、自分らよりも親の方がカネをもってる家もあるでしょう。そんな場合は、遠慮なくスネをかじればいいと私は思いますよ。お互いに依存しあってなにがいけないのでしょう? *1

そう考えるようになったのはやはり、妻を亡くして「なにもかも失ってしまった」からでしょうね。私は、妻さえいれば、あとは何にもいりません。そう想い合って生きてきました。そしてその妻を失い、私はからっぽとなった。このまま世捨て人になろうかと思いましたが、妻がそうはさせませんでした。

 

堀江さんの著書は読んでいませんが、逮捕され、刑務所に入り、人生観を大きく変えられたから、自分の親のエピソードを書こうと思ったんでしょう。これを別角度からみたら、親のことをネタにして本を売り込んでいるわけで、あるいみ依存ですよね。

そもそも、親子の自立って、その線引きはどこなんでしょう?

たとえば、適齢期を過ぎても結婚せずに親と同居している方ってけっこういらっしゃると思いますが、それっていけないことですかね? お正月に帰省したとき、「会話のある暮らし」というものの安穏をまざまざと思い知らされました。

「自立」というご立派な命題を掲げて年老いた親と中年の子供がお互い別々に独り暮らしをして、いったいなんの意味があるのでしょう。うちの場合は母は息子(私の弟)と暮らしているので「独り身」の辛さは味わっていませんが、私はそれで良かったと思います。弟に感謝です。

 

経済的にお互いが自立を促すのは、裏を返せば「もうこれ以上は養えない」ということの表れでしょう。堀江さんが親にフロー型の人生をすすめるのも、この先にまた逮捕とかされちゃった時のリスクヘッジに思います。

つまりは誰もが「仕方なく」自立させられるんです。自立せざるを得ない実情があるから、仕方なく自立の道を選ぶんです。選ばざるを得ないんです。

だから私は、自立しなくてもいい立場ならば、世間の風潮に流されずに依存し合えばいいと思います。そして依存の関係が崩れて自立せざるを得なくなった時に、自立すればいいと思います。事前に予行演習せずとも、その時が来たら誰もが自立しますって。もしできなかったら?その時は死ぬだけです。人間誰もがいつかは死にますから。そんなこと杞憂せずに、今を楽に生きましょうよ。これからの時代は「キリギリス型」の人生の方が勝ち組と呼ばれるような気がします。

 

〈追記〉

記事を書いた後にちきりんさんと堀江さんの対談を読んで、

堀江 でもべつに僕は、「人に頼るな!」と言ってるわけじゃないんですよ。むしろ積極的に頼りなさい、と昔から言っています。

ちきりん それと、個人として自立する話は違うってことですね。 

堀江 ひとりで抱え込まないで、頼るときは頼る。でも、責任は自分がしっかり取る。自立できていない人は、頼りっぱなしで、何かあったときの責任まで、他人に押しつけようとしますから。

ちきりん たしかに。

これには同意です。

ですが、他人に責任を押し付ける系の人って、自立うんぬん関係なく元々そういう腐った輩に思います。なのでこれは、今回の私の主張と混同せず別のものと思ってください。

*1:フロー型の人生を推奨するのは私も同じです。がしかし、だからこそ弱者同士が相互依存しつつ広義でのフロー型というのも必要になってくると思います。そしてそれは、一見すると「自立していないかたち」に思われるでしょう。